噛み合わせが良いと、“幸せ”と仲良しになれると思うのは私だけではないと思います。なぜ?と思った方のために、噛み合わせの重要性や噛み合わせが悪いことにによって引き起こされるトラブル等を分かりやすくご説明していきます。
「年齢を重ねていくと噛み合わせが変わってきた」とご自分で自覚されてくる方も多いと思います。その中でも前歯が出てきたとお悩みの方が多い傾向にあります。これは歯周病が大きく関係しているのです。
歯周病になると歯を支えている骨、歯槽骨の力が弱くなり歯が前に倒れてきます。奥歯が倒れてくると、上の歯なら下の歯、下の歯なら上の歯、倒れてきた歯に対する歯が、その倒れたところに合わせるように飛び出してきます。これを
廷出(ていしゅつ)と呼びます。そうすると噛み合わせの全体のバランスが低下し、下の前歯が上の前歯を突き上げるようになります。その結果前歯は飛び出して出っ歯に見えるのです。
このような現象は歯周病患者様の
30~55%位の割合で起こっているという報告もあり、歯周病が原因による噛み合わせの変化は珍しいことではないのです。このような噛み合わせを元通りにするためには、
矯正治療が必要です。
私が、アメリカのペンシルベニア大学の歯周病・インプラント研修に行ったときに、現地で行われる最新の歯周病専門医プログラムには、矯正治療のトレーニングも含まれていることを知りました。やはり歯周病治療には矯正治療の知識、技術が必要としているようです。
私自身も青島攻(元日本大学松戸歯学部矯正学教室助教授)のトレーニングプログラムに10年以上前に参加し、現在はその意志を継承した山下矯正研究会にて矯正治療の研鑽を継続していますが、歯周病による歯の移動には矯正治療が必要なのだと認識しています。
噛み合わせというのは、私たち人間には体全体に関わるとても重要なこと、また歯並びや噛み合わせのズレが生じる原因の一つとして歯周病が挙げられることを理解していただけたと思います。たとえたった1本の歯だとしても、失ったりグラついた状態を放置していると、歯並びや噛み合わせに大きく影響してしまうのです。
例えると、運動会や体育祭の行事であった人間ピラミッドみたいに一人がつぶれると全体が崩れてしまいます。ラグビーのスクラムなども同様です。要するに1本歯がなくなってしまうと隣や上の歯が噛むときの力に全体で対抗していたのに穴ができるとそこから周りが倒れてきたり、崩れてきたりしてしまうのです。1本1本の歯を大切に、丁寧にメンテナンスを行い、お口全体の健康を維持していきましょう。
当院は、咬み合わせ認定医が常駐しており、咬み合わせという専門的な観点からお口の健康のサポートに加え、体全体への影響にも重点をおき、分かりやすく丁寧な説明ときめ細やかな検査を行っております。咬み合わせに違和感を感じたり、気になることがございましたら、どんな小さなお悩みでもお気軽にご相談下さい。